根は肥料を求めて伸びるのか?結果・考察編

その他

根の伸長指向性について確認したいと思って行っていた実験の結果です。
今後の肥料の与え方に対して示唆を与える基礎現象が得られました。

目的と準備編リンク

準備編にも記載の通り、ジャガイモ植え付けなどで置き肥(一か所にまとめて肥料を置く方法)がいろいろなブログや動画などで見られますが、根張りに偏りや肥料焼けなどの影響があるのではと懸念されました。

そこで設定したのが今回の実験です。

結果

結果は以下の通り、予想通りではありますが、根は肥料のある方により多く伸びていくことがわかりました。

先ずは両端とも化成肥料が置かれていない方の画像です。双方とも根は観られません。

肥料無しのサイドは共に根が観られません。

次に肥料有りと無しの比較です。右容器の側面にはわかりにくいですが化成肥料が置かれています。ピンクで囲っているところに根が観られますね。

右のセットは側面に化成肥料が置いてあります。そちらには囲み円内に根が観られるのがわかりますね。

次に側面と裏側を観てみましょう。

両側肥料無し

側面からは特に根が確認できません。
底面から見ても、根は全体にまんべんなく張っています。

片側肥料有り

肥料が置いてある右サイドには側面からも根が観られます。
底面から見ても、右の肥料がある側は根の張りが密ですね。

そして特に注目しているのは、片側肥料有りの場合、肥料が無いサイドには根の張りが弱いようにも見受けられる点です。

試験自体それぞれ1つずつしか行っていないので、信頼性という意味では低いと言わざるを得ませんが、この傾向は今後の肥料の与え方に対して大きな示唆を与えてくれるものと考えられます。

考察

それでは今回得られた結果から、置き肥をすることによる弊害や今後の肥料の与え方に対する考察を行ってみましょう。

まず根は肥料リッチな方向へより密度濃く伸びていこうとすることから、置き肥が株間にある場合、他株と根が接触しやすい環境になることが考えられます。

別記事「キクイモ・菊芋植え付け編 自己・非自己認識?」で記載した通り、植物では同種他クローン間とは競合する可能性があることが知られています。

Genotype-aggregated planting improves yield in Jerusalem artichoke (Helianthus tuberosus) due to self/non-self discrimination
Yuya Fukano, Wei Guo, Koji Noshita, Shoko Hashida, Shotaka Kamikawa
Evolutionary Applications March 2019

日本語は以下に概要が記載されています。
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2018/20181126-1.html

これによって、競合にパワーを取られ、植物体そのものや果実の肥大に影響が生じるかもしれません。

また、肥料の無い方向へは根張りが弱くなり、一方せっかく肥料の塊の方へ密度濃く根を張っても、肥料焼けなどによる根の枯死が起こる可能性もあります。

また、根張りが一定方向に偏るので、背の高い植物では倒伏などの問題も生じるかもしれません。

また、逆に言えば、肥料の与え方で倒伏を抑え、また他クローンとの競合を抑えることができる可能性がありますね。

古来より「根の先端があると考えられるその先に肥料をまくと良い」と言われていますが、これはやはり合目的的で、根張りを良くし、倒伏に強い元気な株を育てるのに大切なことだと思われます。

昨年の自分は、マルチをしている場合、通路に追肥するのが少々疑心暗鬼だった(^^; のですが、それはあまり気にせず、むしろ良いことだと言えそうです。

またさらに言えば、マルチをしていて通路に追肥する場合、根は通路側に多く伸び、隣の株への根張りが相対的に少なくなる可能性があります。これにより他株との競合に使うエネルギーを減らし、株や果実の充実により力を注げるようになるかもしれませんね。

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