里芋は水を多く必要とする作物ですし、できるだけ多くの水を供給するために、新栽培方法「ビニール傘法」を考えてみました。
詳しくは以下の過去記事をご覧ください。
そしてその結果が出ましたので、ここにご報告です!
当初の比較対象の変更と変更理由
当初以下のように植え付け、画像内の説明のように解析と考察をする予定でしたが、結果を見て変更しました。
他クローン(の可能性)間と同一クローン間の競合の影響は、今回観られませんでした。サンプル数が増えればまた異なってくるかもしれません。
窪み有無の効果については、他クローンとの競合の影響が少ないと考えられましたので、3,4,5,6,7,8を用いることにしました。
マルチの有無については、マルチ無しの重量ばらつきが大きかったので、結果としては判断が難しくなっています。一応考察してみましたけれど、やはりバラツキ大きすぎて有意な結果になりませんでした(^^;。なので、今回は省いています。
結果発表!
収穫は葉がだいぶ黄色く垂れてきた11月6日に行いました。
栽培途中気を使ったのが追肥です。初夏に一回目の8-8-8の化成肥料で追肥を行いましたが、マルチ上にばら撒くと窪みがある株に多く入ってしまいますよね。そこで植穴に同量となるよう各株に追肥しました。
2回目の追肥は9月半ばに行いましたが、この時は畝外の通路に行っています。
地上部の違いについては、特に生育初期に観られました。この際は以下の写真の通り、窪みを作った方の株が、窪み無しよりも大きく成長しています。
以下は収穫時の地上部の様子です。
掘り出した里芋は以下のような感じです。小さいようですが、この地域代々受け継がれてきた種ですし、周りの畑の地上部も同じくらいなので、こういう品種なのでしょう(笑)
そして測定の結果は以下の通りです。測定値はそれぞれの株の上に記載しています。
これらを表にまとめると以下のようになります。
皆さん、どうでしょう?
こう見ると窪みを作った株でイモ重量が多くなっており、なかなか良い結果に見えませんか!?
5番目の株と6番目の株については、窪みの有無が地中水分量としてお互い影響しているかもしれません。
問題なのがマルチ無しの2株で、かなりのバラツキになってしまいました。このため、マルチの有無の評価が不可能になってしまったと言えます。
普通ですとここまでの結果を見て「ビニール傘法、いける!!」という結果になりそうですが、科学者はここからもう一歩踏み込むんです。
何をするかと言いますと、窪み無しと有りの有意差検定を行うのです。その結果をグラフにして記載してみました。グラフにしても効果ありそうに見えるのですが…。
ところが有意差検定してみますと、P=0.073となりました。通常P=0.05以下ですと、統計的に差が有意であると考えて良いと言えます。
つまり…結果を冷静に言いますと「この差は統計的には有意ではない=ビニール傘法が優れているとは言えない」となるんですよね^^;
今後に向けての考察
今回統計的にはビニール傘法が優れているとは言えない結果となりました(泣)。
とはいえ、優れている傾向が見られること、また他クローンと考えられるNo.2株を含めるとP=0.041となり、統計的有意差があると言えることから、優れている可能性はあるのではないか?と思われます。
今回統計的有意差が見られなかったことの原因の一つにサンプル数が少なかったことも考えられます。
このため来期はサンプル数を増やして追試を行うとともに、マルチ無しとの比較データも処理できるように設計していきたいと思います!
コメント