2021年春の作付けで失敗したと言えるサツマイモ。
肥料が多いと「つるボケ」してイモが大きくならないという情報にビビリ、また、肥料は入れないくらいの方が良いとの情報を信じてごく少量の化成肥料で育てた結果、とてもカワイイおイモが採れたのでした(^^;
そこで2022年の作付けでは、いっそのことつるボケという現象も観たくて、肥料量に対する収穫量依存性を確認する実験を組んだのです。
詳細は以下のリンクをご覧ください。
そして先日収穫が終了し、データがまとまったので、結果発表です!
栽培中の経過
検討していた追肥については行いませんでした。
とはいえ、行わなかったのは積極的なサツマイモ畝への追肥で、南北上下の畝の作物には行いましたので、間接的な流入や、根の広がりによる肥料分吸収はあったと考えられます。
ただ、隣接畝への追肥はまんべんなく行っていますので、サツマイモ各株への影響もおおよそ同程度であったと考えられます。
以下は7月17日の様子です。手前が肥料0です。写真でも少しわかるかと思いますが、肥料が少ないと草勢がやや弱く、葉色も薄い傾向があります。
また、もう一つ気づいたのはつる返しの時(8月25日)ですね。
肥料分が多い方(200 g/m2と100 g/m2)で株元以外(畝外)にイモが形成されていたことです。
つる返しは8月25日と9月24日の2回行いました。
そして収穫です。
収穫結果発表!
そして収穫と計量です。収穫は11月6日と7日に行いました。
6日の収穫は妹家族や母親も来園して楽しんでもらえたと思います(^_-)
先ずは「べにはるか」の結果を以下にまとめました。
上表はべにはるかにおける添加肥料量に対する塊根数及び塊根重量を示したものとなります。
添加されている窒素量はそれぞれ次に対応しています。0g(化成肥料量)=0g(窒素量)、25g=2g、50g=4g、100g=8g、200g=16g。
この表を見ますと…うーん…もうちっと何か傾向のようなもの見えるかな?と思ったのですが、わかりにくいですね(^^;
では、各株の塊根重量合計を添加肥料量に対するグラフで見てみましょう。
これでもまだわかりにくいですね(^^;。
200 g/m2では「つるボケ」が生じる可能性があることを頭に入れながら、一応回帰直線を書き入れてもみました。
そして決定係数R2を出してみましたが…0.2788って(^^;。通常決定係数が0.6を下回ると、「まぁ傾向なんて見られないね」ということなんですよね(^^;。
それでは、いったん「べにはるか」を置いておいて、気を取り直して、シルクスイートの結果を見てみましょう。
気を取り直して見てみたものの、やはり笑ってしまうくらい傾向がわかりにくい(^^;
では、こちらもグラフで見てみますと…
シルクスイートも、グラフで見てもなかなか難しい。
同様に回帰直線と決定係数を出してみましたが、決定係数はさらに低いR2=0.2137となってしまいました(^^;
ちなみに添加肥料量と株あたり塊根数や塊根一個当たりの重量などは、まったく傾向が観られませんでした。
考察
結果を見ると、添加肥料量0~200 g/m2の範囲内ではべにはるかもシルクスイートも塊根重量が大きく変化することは統計的にはないと言えます。
ただ、一応回帰直線は右上がりになっていますので、肥料はこの範囲であれば多く添加しても「つるボケ」は観られないと言えます。
また、科学らしくなく心の目で見ますと(^^;、8-8-8の化成肥料では経済的にも50~75 g/m2程度添加すれば、それぞれのサツマイモの着果能力的には十分であると言えそうです。
先ずは今回の実験の大きな目標であった「つるボケは起こるのか?」の確認については、結論として「この肥料添加範囲では、本2品種において顕著なつるボケは起こらない」と言って良さそうです。
なので皆さん、肥料を添加しすぎたかな?というのは、近代種のサツマイモではあまり考えなくて良いのかもしれませんね。
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