ナス(千両・絹かわなす)栽培 2021

ナス

菜園を楽しんでいる方々では、おそらく皆さん経験のあるナスの栽培。昨年は千両と絹かわなすの苗2株づつを購入し、栽培してみました。

もっとも、絹かわなすは愛媛県西条市のブランドナスなので、群馬で育てたら絹かわなすでは無いのですけれど(^^;

実は私の畑のオーナーさんはナス栽培を行っておりまして、都度都度プロの栽培方法を教えて頂けたおかげで、初年でもたくさん収穫できました。

そんな環境で得た、多くの栽培説明サイトでは書かれていないような内容も書いていこうと思います。

この栽培方法は2022年の他のナス栽培にも応用できています。もしよろしければご覧ください!

ナスとは

ナスとは…とは今更な感じですが(^^;、自分でも向き合って初めて知ったこともありでしたので、簡単に、特にここでは千両のような紫系のナスについてまとめたいと思います。

食用となるナス(Solanum melongena)はインド原産と考えられているナス科ナス属の植物で、熱帯・亜熱帯では多年草ですが、温帯野外では基本的には一年草として栽培されています。

同じナス科ナス属でも観賞用のツルハナナスや雑草扱いのワルナスビなどは温帯でも多年草となる場合もあります。

紫系のナスの栄養素として注目されるのは皮に含まれる抗酸化作用があるナスニンでしょう。

ナスニン(nasunin)はアントシアニンであるデルフィニジンの誘導体(delphinidin-3-(p-coumaroylrutinoside)-5-glucoside)で、脂質酸化を防いだり、がんや創傷治癒時の慢性炎症に係わる血管新生抑制作用が知られています。

参考
・Antioxidant activity of nasunin, an anthocyanin in eggplant peels.
Toxicology Volume 148, Issues 2–3, 7 August 2000, Pages 119-123 Y. Noda et al
・Antiangiogenic Activity of Nasunin, an Antioxidant Anthocyanin, in Eggplant Peels
J. Agric. Food Chem. 2005, 53, 16, 6272–6275 K. Matsubara et al

いろいろな料理に使えるので、重宝な野菜ですよね(笑)

ナスの植え付け

さて、初のナス栽培は苗を購入するところからです。正直どんな苗が良いのか分からなかったので、某経営者交流会で知り合いました「グリーンファーム安達」さんにお任せで選んで頂き、千両と絹かわなすを2株づつを購入しました。

今回は2種共に接ぎ木苗です。届いたのは5月8日でした。

前述の通り「絹かわなす」は愛媛県西条市のブランドナスなので、リスペクトを込めてここでは「絹かわなす」の呼び方を改め「ナスB」としましょう。

購入した千両2株(右)とナスB2株(左)。間にキュウリが挟まっていますけれど(^^;

植え付け前の土作りは、一般的な方法です。植え付け2週間前に完熟牛糞堆肥と苦土石灰を混ぜて管理機で耕し、1週間前に8-8-8の化成肥料と油粕少々を混ぜて再度耕し、畝を立てました。

畝幅は70 cmで黒マルチを張っています。

植え付けは苗入荷の翌日、5月9日に行いました。当初70 cmの株間を取りたかったのですが、おススメで送って頂いた他の苗もあって、スペースがなくなってしまいして(^^; … 60 cmで。

植え付け時には斜めに刺した短い支柱を立てて固定します。支柱は根のある範囲に刺さないように。

写真は今年(2022年)の植え付けですが、このように支柱を立てて固定します。

植付が終わったら、防虫シートでトンネルして、風除け・虫除けします。

ナスは奥の方ですが、このようにトンネル掛けします。

しばらくして一番花が千両で咲きました。開花確認したのは5月22日です。翌日23日にはナスBでも開花が観られました。

ネット越しに撮影した一番花。5月22日開花確認です。

苗がシッカリしたらネットを外して日に良く当てて育てていきます。ネットを外したのは5月29日でした。

苗がシッカリしたらトンネルを外します。手前がナスB、奥が千両です。根もしっかり着いたようです。

ナスの仕立て

ナスの仕立て方法は1本、2本、3本仕立て、4本仕立てなどがあります。

当初ネットなどに良く挙げられている3本仕立てにしようと考えたのですが、畑オーナーさんも行っている4本仕立てで進めることにしました。

4本仕立ては一番花の下で分かれた側枝(後に更に最初の分枝を残す)と、そ一番花の直上から出た側枝を残して伸ばす方法です。葉を除いた図を以下に挙げますね。

一番花の上下を主な枝に使います。

ちなみに花は主枝ではいわゆる節間に付き、若い側枝では節直近に付く傾向があるように思います。

ただここで一つ、多くのサイトで言及されていないことを言っておきましょう。
それは、「仕立てる過程を一生懸命にやらなくて良い」ということです。なんなら主枝として残す枝も元気のある枝ならどれでも良いというくらい(笑)

どういうことかと言いますと、残す枝以外に出てくる枝を、出て来るつどつど折り取っていかなくて良い、ということです。

さらにどういうことかと言いますと、最初は仕立てを頑張るよりも、苗を強くすることを第一に考えるということです。まだ弱々しいな?と思ったら、苗を強くするために、しばらくは落とすべき枝も残しておきましょう。

プロによりますと、この間に折り取るべき枝に花が咲いて実がなってしまったら、小さいうちに摘んでしまっても、そのまま育てて収穫後に枝を折り取っても問題はないとのことでした。

葉も一番花より下は一番実収穫時に取ってしまうよう言われていますが、これも株の状態を見て、徐々に取っていくのが良いと思います。

また、一番花の実についても、苗の様子を見ながら、摘んでしまってもそのまま育てて収穫しても良いそうです。

そう考えますと、週末しか農園に行けなくても安心できますね。

整枝と収穫

主枝が決まり、いくつか実が生ってくると、気温の高まりと共に草勢も強くなって、グングン成長し始めます。

ナスは茎が折れやすいだけでなく、実が風などで枝葉と擦れることによって容易に傷ができるので、主枝を固定して整枝していくことが必要です。

茎を固定していく方法は、支柱を立ててそれに沿わせる方法や、棚を作り、そこから紐を垂らして枝を釣り上げていく方法などがあります。

今回行ったのは畝の両サイドにステンレスの支柱を立て、その間にビニール紐を張り、枝を固定化していく方法です。(実はこの年(2021年)は畑オーナーさんがいつの間にかステンレス支柱を立ててくださいました(^^;)

植えてある株の両側にステンレス支柱を画像のように設置します。この後、支柱交差部はビニール紐で固定します。

支柱を立てるのは、根の張りがまだ狭い範囲のうちに行うのが良いでしょう。根が傷つくのを防ぎますし、土も柔らかく支柱も刺しやすいです。

苗が成長し、主枝が伸び始めたら両側の支柱にビニール紐を渡し、固定化していきます。

このように支柱両側にビニール紐(白)を渡し、枝を固定していきます。

枝を紐に固定化する際は、麻紐などを用いても良いですが、テープナーを使用すると楽で早く結束できます。

テープナーで結束すると非常に楽です。これは白ナスです。

テープナーなどで結束する際、いくら注意してても主枝がポキッと折れることがあります。ナスってホントに折れやすい(^^;。その際は気にせず側枝を伸ばしていきましょう。

枝がさらに成長したら、順に高い位置にビニール紐を渡し、固定化していけばOKです。

そして収穫です。ナスを長く多く収穫するためには、その方法もいくつかあります。今回は側枝に一つ実を生らせたらその先を摘心していく方法です。

実を収穫したらその側枝の幼芽から生じる枝を伸ばし、上記と同様にして収穫を繰り返すことができます。

ここで収穫の際の注意点(?)ですが…。外でナスを見ると小さく見えるんです(^^;。

ただでさえ採り遅れて巨大化してしまうことがあるのに、採りごろと思った実さえ、結構大きくなってしまっているのです。スーパーなどで売っているのと同じくらいと思って採ってみると、それより2倍くらい大きかったり(^^;

採りごろと思っても、実は大きくなり過ぎていたりします(^^;

ちなみに最初は採りごろと思って採っていたサイズは100~250 gでした。ですが、通常の出荷サイズは80~120 gだそうです(^^;

そして以前のつたない記憶を辿ってみると、私は「ナスの株ってせいぜい高さ1 mくらい」だと思っていました。オーナーさんから「2 m超えるよ」と聞いてホントか!?と思っていましたが…。

最終的にはホントに2 m超えるくらいにまで成長しました。びっくりです(^^;

支柱を大きく超え、外に張り出してしまっています。全長は2 mを超えました(^^;。特に南側は成長旺盛です。

側枝に2つ実を生らせてしまったり、夏の成長旺盛な時、何度か1週程度間収穫に行けず400 gを超えるようなお化けだらけにしてしまったりがありながら(^^;、最終的には1株当たり優に100個以上収穫できました。

ナスの追肥

ナスは栽培一年目でも、肥料が足りているか足りないのかが結構分かりやすい作物でした。

葉は色が薄くなり、花ではめしべが高くならず、おしべに埋もれてしまうようになります。花の色も悪くなり、大きさも小さくなります。

最もわかりやすいのはめしべとおしべの高さですね。

肥料が足りていると、おしべに囲まれためしべの頭がはっきり見えます。

次は翡翠ナスの花ですが、肥料が不足するとめしべがおしべに埋もれて見えなくなります。

めしべが飛び出ず、おしべに囲まれて見えない状態。肥料が足りない状態です。

追肥の方法ですが、草高は1 mくらいまではマルチの上に8-8-8の化成肥料をばら撒くように行いました。特にマルチに穴を空けたり、めくって施したりなどはしなくても大丈夫です。

1 mを超えたころからはマルチの上だけでなく、周りにも撒くようにします。量は…適当でした(^^;

害虫や病気

当然ですが、ナスにも害虫が付きます(^^;

最もわかりやすいのはニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)ですね。葉を食べているだけならまだ良いのですが、実も齧って傷を付けるので厄介です。

ナス葉の上のニジュウヤホシテントウ。
ニジュウヤホシテントウの食痕(^^;

ナス果実を食害する害虫のもう一つはオオタバコガの幼虫です。非常に分かりやすい穴を開けますし、穴周辺にフンがあることが多いので、商品価値が無くなるのはもちろん、自宅でも食べるのをちょっと躊躇します(^^;

ちょっとボケてしまいましたが…オオタバコガ食痕(^^; フンも付いてます(^^;
白ナスですが…穴を開けて食事中のオオタバコガ幼虫。

そして実ができ始めたころの食痕が、大きくなるにつれて拡大して見えてくるキイロアザミウマ被害があります。

ちなみに今年(2022年)はコンパニオンプランツをふんだんに取り入れた効果か、食害がほとんど観られませんでした。

吸汁する害虫としてはやはりカメムシですね。ナスに良く着くのはホオズキカメムシだと言ってよいでしょう。

大発生しない限りはそれほど大きな被害にはならなそうですが、群れで吸汁していることが多いので、気持ち悪っと思います。

ナス葉の裏で脱皮したホオズキカメムシ。

葉を食害する芋虫系では、クロメンガタスズメの幼虫が挙げられます。大発生はなさそうなので、たまに一匹いる程度ですが、食痕は大きく、フンも大きく、ヒトによっては気持ち悪いでしょうね(^^;

しかも大きな食痕やフンが大量にあっても、なぜかなかなか見つからない(^^;。8-9 cmくらいになる大型幼虫なのに。結構移動するからかと思われます。

自分は成虫を見てみたい!サルの顔のような、アフリカのお面にあるような模様があるんですよね。

キレイなクロメンガタスズメの幼虫。威嚇?しています(笑)

そして知る限り・調べた限り未発表の新害虫。今年(2022年)判明したフクラスズメの幼虫です。畑近場の食草が枯渇した際には注意が必要です。彼らの集団での摂食スピードは侮れません。

病気としては秋に入った栽培後半に出てくるうどん粉病ですね。
「この時期のうどん粉病は普通だし、無農薬ならどうしようもないね(笑)」プロ農家さんのお言葉です。

おまけ 男料理 

今回の男料理は「ナスのクリームパスタ」です。

ナスは消費が大変なくらい大量に採れますので、星の数ほどいろいろな料理にしたのですが、写真でみて綺麗に撮れたのを採用してみました(笑)

材料は以下の通り。

  • 千両ナス 2本
  • フルーツトマト 4個
  • オクラ エメラルド 4本
  • ニンニク 1片
  • ウインナー 4本
  • スーパーで売ってるかけるだけクリーム系スパゲッティソース 1パック
    なんでも良いですが、きのこ系が美味しいです。
  • 塩 少々
  • コショウ 少々
  • コンソメ 少々
  • オリーブオイル少々

ナスは縦に8つ切り。フルーツトマト・オクラ・ウインナーを一口大に切ります。ニンニクは薄い輪切りに。

ナス・オクラ・ニンニクをオリーブオイルで炒めます。ナスがしんなりするくらい。

ウインナー、塩、コショウ、コンソメを適量(笑)入れて、さらに炒めます。フルーツトマトは炒めている途中で加える感じ。

火を止めて、スパゲッティクリームソースを加えます。

ひと煮立ちさせたらパスタ(スパゲッティでもリングネでも何でも良い)にかけて完成。

市販のクリームソース(特に業務スーパー)は安く売っているので、時短料理にお勧めです。だいたいが2名分なので、翌日も食べられます(笑)

ひと味少ない感じもする(単に濃い味が好き)ので、コンソメ・オイスターソース・ウスターソース・醤油・みりん・味噌etcなどを気分によって追加すると美味しいです。

ちなみに写真は作った分の半分です。残りはとろけるチーズを加えてスパゲッティにかけて食べましたよ(笑)

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